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2020.08.29
コラム4:栄養改善は日本がリーダーシップを
世界の平均寿命を知っていますか? 世界保健機構の2019年版「世界保健統計」によると16年時点の平均寿命が72才です。この数値の高さを意外に思うかもしれません。主な要因は発展途上国の5才未満の死亡が減少したからとのこと。ちなみに日本は84・2才、米国は78・5才となっています。
目標パネル2「飢餓を終わらせ、食糧安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」
この数字には二つの側面があります。
発育が年齢に不相応な低身長の5才以下の子どもは世界で1億5600万人といわれています。一方で過体重又は肥満の子どもが4200万人という数字も出ているのです。大人にいたっては低体重が4億6200万人、過体重が19億人・肥満が6億人と発表されています。栄養面から見ると深刻な状態といわざるを得ません。
SDGsの目標パネル2の「飢餓をゼロに」を見ても、その背景にある世界の課題はそう単純ではないのです。整理すると、5才以下の子どもの発育阻害、子どもを生む世代の女性の貧血、出生児の低体重。子どもの過体重、母乳育児の割合低下などの課題があげられます。さらに、SDGsでは、食料となる農業生産性の向上、労働者の収入、食料価格変動への歯止めの必要性もあげています。
実は、2020年開催予定だった東京五輪の延期はSDGsの目標達成へのアクション(行動計画)に大きな影を落としました。その一つが「国際栄養のためのグローバルアライアンス(GAIN)」の国際会議が延期になったことです。12年のロンドン、16年のリオから引き継がれ「東京栄養サミット2020」が開催され、世界から要人が集まり、前記した課題への行動計画や進捗状況を共有する予定でした。
平均寿命が高く、栄養意識の高い日本での開催は、国際的に注目されていました。WHOが2012年からスタートした栄養改善の目標と平行して、SDGsの目標では「2030年までに飢餓を終わらせ、食糧安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」とあります。そのために中間評価をする重要なタイミングの会議に位置づけられていたのです。目標2は他国の遠い話ではありません。日本人としてどうリーダーシップを取るかが問われています。